「熱海秘宝館に行こう。」
そう誘ってきたのは、混浴を共にした私の友人K。
彼女は私のツボをよく知っている。
熱海秘宝館といえば、大人のワンダーランドである。性の遊園地とでもいえるだろうか。
ずっと前から行きたかった場所であり、まさか友達からその場所に行こうと誘われるなんて思っていなかった。
テンションが上がった私はこう答えた。
「熱海秘宝館は激アツです。絶対に行きたい場所である」
神戸から約3時間で熱海駅に到着。
そこからバスに乗り、「後楽園」で下車。
とりあえず昼ごはんを食べることに。
漁師が経営している、磯焼きの屋台みたいな店に入る。
「まご茶漬け」というよくわからんものがあったのでそれを頼んでみた。
ご飯の上にアジの刺身がのったお茶漬け。
美味しかったけど高かった。1350円。
さっきからKはスマホばかり見ている。
彼女が口を開く。
「おじいちゃんやばいみたい」
「そうなんか」と答える私。
新幹線に乗っている時から、彼女のおじいちゃんが危篤ということは知っていたが、Kは「帰らない」の一点張りだったので、そういうもんかなと思っていたわたし。
「帰らんでいいの?」とダメ押しでもう一度尋ねる。
彼女はそれには明言せず、
「先輩、呼べる?ここに」
と尋ねてきた。
「え?」
先輩といえば私の彼氏だ。
彼女はやっぱり帰るつもりだが、それでは待ってくれている旅館の人に申し訳ないというので、私の彼氏を代わりに連れて来るというのだ。
「もしもーし。あの、先輩、今から熱海これる?」
先輩は京都に住んでいる。
しかも今日は友人と100キロ・ママチャリサイクリングの日である。
「え、、」
明らかに戸惑っている先輩。
そりゃそうだ。なんでチャリ漕いでる時に急に熱海に行かないといけないんだ。
「Kに代わるわ」
Kが電話越しに先輩と話し始める。
途中で彼女は泣き出し、ドラマの主人公みたいだなと私は思った。
しばらく話していたKが顔をあげ、
「先輩、友達連れてくるって」と言う。
いや、それは意味がわからない。
なんで私は知らん男と3人で旅行しないといけないのだ?
部屋はどうする?同じ部屋?乱交パーティ始まっちゃうくない?
何を血迷っている、先輩。
「電話代わるわ」
そう言ってスマホを受け取り、3分で商談は終わった。
〜結論〜
先輩は、明日1人でやってきてくれる。
今日の宿は1人分キャンセルだが、明日の旅館はキャンセルせずに済むことを知ったKは、安堵の表情をうかべ、熱海を後にした。
超多忙のハリウッド女優かよ...
そのあとはわたしは1人で熱海秘宝館にいき
ハンバーグさわやかの待ち時間に「世界一小さな公園」に行き、
90分待ってようやく「おにぎりハンバーグ」にありつけ、
1人で宿に泊まった。
今朝の朝日。
1人で寂し〜!と思って実家に電話をかけていたが、
なんやかんや1人でも楽しめるもので、気づいたら朝になっていた。
今日はまた1人で箱根にいかねば...!
先輩、早くきて欲しいけど「俺昼まで寝てるかもしらんで」と全然来る気ないだろお前発言するから、期待したらだめだー!