バイト後のヘロヘロになった身体を引きずり、抜け殻状態の私は、信号が青に変わるのを待っていた。
時間は夜21時。
そのとき、メガネかけたおばさんが近づいてきた。
「相談したいことがあるんですけど、いいですか!?」
「....!?(驚きすぎて声が出ない)」
このあと、おばさんが相談内容を話し始めるまで、私はずっと鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた。
単純に夜に知らない人に声をかけられてびっくりしたという理由もあるが、びっくりしていたら、「ごめんなさい!迷惑ですよね。さようなら!」とか言って帰ってくれるかなと思ったのだ。
実際のところ全然帰ってくれない上、話は止まらない。
「知人には相談できなくて、第三者に相談したいと思って!お時間大丈夫ですか?」
私はうんともすんとも言えないまま、頭の中には2種類の考えが同時に浮かんでいた。
(マルチ...?宗教の勧誘...?やばいやつだ、断って逃げろ...!)という真っ当な考えと
(ブログのネタになるかも....このまま聞いておこうか?)という好奇心爆発な考えの両方である。
そのどちらもが浮かんだまま、フリーズしていた私だったがーー
おばさんの畳み掛けるようなトークに返答できないまま、相談内容が始まっていた。
心理士の卵である私は、(無料カウンセリング、始まったね...?)と思いながらそのまま流れに身を任せることにした。
信号は青になっていた。
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詳細は書けないけれど簡単に流れだけ書くとこんな感じ。
友人に転職を勧めるか否かという相談内容だったが、
私は「会社が合ってなかったら転職する。私だったら。」
という超個人的な意見を述べると、
「そうですよね。ありがとうございました!」
と言い、颯爽と帰って行った。
(急に相談がはじまり、急に終わった。台風
のような人だ...)
信号が青に変わり、私がちらっと振り返ると、もうその女性は遠くの方に見えていた。
奇妙なおばさんとわたしの人生が交差した不思議な1日だった。